科学研究費助成事業
について

豪雨災害から避難弱者を守る
共助的な避難行動計画づくり
システムに関する研究

近年、頻発化する豪雨災害から高齢者等避難弱者をいかに守るかが重大な社会課題となっています。IoTの進展に伴い膨大な気象・河川の観測・予測データが収集されているにも関わらず高齢者等避難弱者の被災比率は高止まりしたままです。そこで、先進自治体では、コミュニティが主体となって住民自らが気象・河川データを理解し必要な判断をする力を育成し、日頃から避難行動計画を準備する取組みが始まっています。本研究では、これまで分野別に取り組まれてきたデータ共有管理、避難工学、都市計画と政策法務の研究者が連携し、コミュニティが主体となって避難弱者の支援を含む共助的な避難行動計画をつくるシステムの構築方法を明らかにすることを目的としています。また、避難弱者の個人情報シェアリング・フレームワーク(いつ、誰が、誰と、どの情報を、どの精度で、どの媒体で共有すべきか)の構築も目指しています。

これまでには国土交通省下館河川事務所、常総市等と連携し、マイタイムライン作成のためのワークショップ、自主防災組織リーダー育成事業などを行いつつ研究を進めてきました。

2021年5月10日には災害対策基本法等の一部を改正する法律(改正災対法)が成立しました。この改正で、避難行動要支援者の支援を確実にするための個別避難計画の作成が市町村長の努力義務とされたことを踏まえて、個別避難計画の作成促進に重大な関心を有している自治体と協力して、実際の個別避難計画作り支援を行いながら、コミュニティ主体の共助型避難行動計画づくりシステム・モデルの作成に取り組んでいます。

科研費 KAKENHI